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おとうふマメ知識−とうふと栄養・健康について
古くて新しい健康食品
昔から豆腐は、これを精進料理として食していた僧侶や、多く摂っていた地方に長寿者が多いことから、長寿食といわれてきました。近年に至り栄養学等の確立によって、極めて高い良質タンパク食品であることが科学的に立証され、栄養面ですぐれた食品といわれています。
最近では、癌・高血圧・動脈硬化・心臓病・糖尿病あるいは成人病・肥満等々の増加を背景に、これらの発症の抑制や回復、また健康の維持に有効な食品(機能性食品)が注目されています。豆腐の成分もそれらの機能のあることが次々に解明されており、まさに、豆腐は古くて新しい健康食品なのです。
大豆と豆腐――大豆成分の大部分が移行
豆腐の原料はただ一つ、大豆です。大豆は畑の肉といわれるように、良質なタンパク質や脂質の含有量が多い(概数で、タンパク質35〜45%、脂質18〜26%)栄養価の高い食品ですが、そのほかミネラル、ビタミンをはじめ、前記の「機能性食品」としての成分が各種含まれています。
*注 豆腐用の大豆は、特にタンパク質の高い(39〜42%程度)、油分の低い(18〜21%程度)大豆を使います。
豆腐は、この原料大豆を磨砕し、加熱し、絞った豆乳をほぼ全部凝固させたものですので、絞りかすのおからに残った部分(繊維質・タンパク質・脂質その他)以外の大豆の成分は、ほとんど豆腐に移行しております。豆乳に溶けた微量成分も、凝固剤によって豆腐に「抱き込まれ」ます。
大豆成分の豆腐への移行率は、豆腐の種類や造り方によって若干異なります。タンパク質の場合、大豆の磨砕によって水に溶け出し、通常約80%が豆乳中に抽出され、うち約90%が凝固し豆腐に移行します。脂質は約75%が豆乳へ抽出されます。脂質自体は凝固しませんが、豆腐が凝固する際に中へ取り込まれ、うち約95%が移行するといわれています。
*脂質
豆腐は淡白で油濃くないため、脂質があるとは想像し難い面もありますが、実際はタンパク質に次ぐ成分量の脂質が含まれています。なお脂質は、滑らかさや柔らかさを出すのに寄与しています。
糖質やミネラルなどその他の大豆成分・物質も、程度に差がありますが、概ねそれぞれ豆腐に移行します。
豆腐は消化吸収が抜群(胃腸にやさしい)
大豆は消化のあまり良くない食物とされていますが、豆腐となった場合、その吸収率は極めて高く、92〜98%が消化吸収されるとされています。豆腐は、大豆の組織を十分壊し(磨砕)、タンパク質や脂肪等を一旦遊離させた上で、消化の悪い繊維質を除いて(おからに移行)もう一度固めたものですから、消化吸収が良いのです。栄養的に優れているが消化のあまり良くない大豆を、消化吸収の良いように加工したのが豆腐といえます。そのため、一般の人はもちろん、病人食・老人食・離乳食にも適しています。
高い栄養素
(良質なタンパク質と脂質)
人の体の三大栄養素であるタンパク質、糖質(炭水化物)、脂質のうち、豆腐は、特に良質な夕ンパク質と脂質に富んでおります。豆腐は水分が多い(80%以上)ので、豆腐の中のタンパク質は6%程度ですが、水分を抜いて換算しますと約50%に及びます。
他の食品と比較したものを表に記しました。
タンパク質は皮膚、内臓、筋肉、骨、血液などの細胞や組織を作っているほか、酵素やホルモンなどの材料になるものです。豆腐のタンパク質は、含まれる量が多い上に、栄養価が高く良質であるという特質があります。タンパク質は体内でアミノ酸に分解、吸収され、各組織に行き渡ることとなりますが、その際、食物からしか取れない「必須アミノ酸(8種類)」をバランス良く含んでいるか否かで栄養価が決まります。
植物性タンパク質は一般に必須アミノ酸が低く、動物性タンパク質は必須アミノ酸構成が良いとされています。大豆(=豆腐夕ンパク質)は動物性タンパク質に近い構成のため、良質とされているのです。
なお、肉類は栄養価が高い反面、コレステロールの原因になりやすいのに対し、豆腐タンパクにはそれを下げる作用があるなど、「機能性食品」としての機能もあります。 豆腐のもう一つの栄養素である脂質は、前述したように結構多く豆腐の中に含まれています。脂質は、エネルギー源として体に不可欠なものですが、その他「機能性食品」としての機能も注目されています。
大豆(=豆腐の脂質)の特質は、不飽和脂肪酸が8割以上を占め、うち必須脂肪酸であるリノール酸(5割強)・リノレン酸(1割弱)の比率が高いことです。なお、動物性脂質は飽和脂肪酸の比率が高く、コレステロールを含むのに対し、不飽和脂肪酸はそれをあまり含まないため、成人病予防等、体に良い脂質といわれています。
機能性食品としての効用
豆腐は、タンパク質や脂質など体の基礎的な栄養素のみでなく、体を調節等して健康を維持増進させる食品「機能性食品」としても注目されています。その効用について、次々と科学的に解明されつつあり、多くの報告がなされています。以下は、その主なものです。
血圧、コレステロールを下げ
動脈硬化に効果
<タンパク質、リノール酸>
豆腐のタンパク質は、血液中のコレステロールを低下させ、さらに、その成分の一つ(ペプチド)が血圧上昇を抑制するといわれています。次に、豆腐の脂質に多く含まれるリノール酸は、前述のとおり、不飽和脂肪酸としてもともとコレステロールをあまり含まないのに加え、血管に付着するコレステロールを除去する善玉コレステロールを増やす作用があるといわれています。そのため、高血圧・コレステロールが原因となる動脈硬化を防ぎ、脳出血・心筋梗塞・狭心症等の予防に効果があるとされるのです。
脂肪代謝、脂肪肝にも効果
<レシチン>
レシチンは、大豆に含まれる物質で、不飽和脂肪酸が構成要素です。レシチンの機能の一つは、その強い乳化作用によって、血管に付着したコレステロールを溶かし血流の流れを良くする、あるいは固まるのを防ぎ付着しないようにする働き(脂肪代謝機能)です。そのため、動脈硬化を防ぎ脳出血等を予防する効果があります。また、その脂肪代謝機能により、肝臓中の脂肪分を減らす働きをしますので、酒を飲む人に多い脂肪肝の予防にも効果があります。なお、この大豆レシチンは、大豆の脂質とともに豆腐に移行しております。
記憶力を高め、脳の老化・ポケ予防に効果
<レシチン・コリン>
レシチンはまた、脳の活性化にも効果を発揮します。それは、レシチンとその構成成分の一つである「コリン」によるものです。レシチン自体は、脳の情報伝達に関わる神経細胞の重要な材料となります。一方コリンは、食物と一緒に摂られたレシチンが腸内で分解され独立したもので、脳に運ばれアセチルコリンという「情報伝達物質」に変わります。したがって、記憶力や集中力を高め、物忘れなど脳の老化やボケ予防に効果があるのです。
活性酸素の抑制等により成人病や老化防止に効果
<サポニン>
大豆サポニンは配糖体といわれる物質で、食感として咽喉に残る不快感(渋み、苦み、えぐ味。収斂味という)の原因となります。そのため嫌われた面もありましたが、最近では、健康の増進等に及ぼすいろいろな機能が注目されています。
その機能としては、脂肪の蓄積を防ぐ、血管に付着した脂肪を洗い流す、老化のもとになる脂肪酸の酸化を防ぐ、活性酸素の働きを抑制する、腸を刺激し便通をよくする、あるいは血栓を予防する、その他、成人病や老化防止などに関係する効果が種々報告されています。
大豆サポニンの豆腐への移行は、食感としてわずかに残る収斂味が証明しているといえるでしよう。
なお、サポニンには、発癌抑制効果、エイズの発症抑制効果なども報告されており、今後の研究が期待されております。
骨粗鬆症、乳がん、動脈硬化等に効果
<女性ホルモンに似たイソフラボノイド>
最近、世界的にも注目されている物質です。イソフラボノイドは、サポニンと同じ配糖体の仲間ですが、食物では大豆に最も多く含まれています。この物質が注目されているのは、女性ホルモン(エストロゲン)と似た働きをするからで、植物エストロゲンとも呼ばれています。
更年期障害など女性ホルモンの減少によって起こる諸症状に効果が期待されるところです。具体的には、骨粗鬆症(骨からカルシウムが溶け出し骨がもろくなる症状。女性ホルモンはカルシウムが溶け出すのを抑制)の予防効果が指摘されています。
また、女性ホルモンとの関連から乳がんや前立腺がんの予防効果があげられ、欧米人に比べ日本人にこれらの発生が少ないのは豆腐等を食しているからとの指摘もあります。
その他イソフラボノイドの効果には、更年期障害等で起こる高血圧・コレステロールの抑制、循環器疾患のリスク軽減などがあげられています。
糖尿病の治療や予防に期待される
<トリプシンインヒピタ(トリプシン阻害因子)>
この物質は、その名のとおり、タンパク質の分解酵素トリプシンの働きを阻害し消化吸収を妨げるほか、膵臓肥大に作用するため、嫌われ者的存在でした。最近に至り、糖尿病に関係するインシュリンの分泌を盛んにし、治療や予防に役立つのではないかといわれています。糖尿病が増加している折から、その解明が期待されています。
腸内の善玉菌・ビフィズス菌を増やす
<オリゴ糖>
オリゴ糖は、豆腐の「甘み」などを引き出す大豆の糖質を構成しています。ビフィズス菌は、腸内の悪玉菌(大腸菌など老化や病気の誘因ともなる)の増殖を抑えるほか、腸の運動を活発にする、免疫力を向上させる、発がん物質を分解するなど、多くの有用な働きがあるといわれています。オリゴ糖は、そのビフィズス菌の栄養源(エサ)となるものです。豆腐を食べることは、含まれるオリゴ糖によって、ビフィズス菌を増やし上記の効果を引き出すことになります。なお、豆腐は、ほとんど繊維質を含んでいませんが、腸内浄化等の点では同じような働きがあるともいえましよう。
骨や歯に ストレスにも効果
<カルシウム>
カルシウムは、骨や歯を作っている重要な物質(ミネラル)ですが、不足するとイライラし神経過敏になるといわれ、精神の安定にも関与しています。日本人の力ルシウム不足が指摘されていますが、豆腐には結構カルシウムが含まれています(木綿豆腐100g中120mg)。また、吸収に難点のあるカルシウムが、豆腐の良質なタンパクによって吸収が格段と促進されるといわれます。
豆腐のビタミン類――美肌等に効果
豆腐は製造工程で熱を加えるため、大豆に含まれるビタミンの移行はさほどでありませんが、ビタミンE、ビタミンB1、ビタミンB2、ナイアシンを含んでいます。ビタミンEには血行をよくする作用があり、美肌づくり、肩こり、腰痛に効果があるほか、活性酸素や脂肪の酸化を抑制し、がんや成人病を予防する効果があると指摘されています。ビタミンB群は皮膚や粘膜の健全化などに、ナイアシンは皮膚や胃腸の健全化に効果があるといわれています。
おからと栄養
大豆を磨砕し加熱した後、豆乳を絞りとった残り(絞りカス)がおからです。したがって、おからには、大豆の皮や胚芽部分などの繊維質がほとんど移行しています。食物繊維は、便通を良くし有害物質の腸内滞留を防ぐほか、高コレステロールや肥満を予防する働きがあるとされています。
またおからには、豆腐ほどではありませんが、タンパク質・脂質等も含まれ、大豆の皮や胚芽にある微量成分も移行しております。したがって、おからは、栄養面でも、機能食品としても優れており、食品としての見直し等が待たれます。
健康食、美容食、長寿食、世界の「TOFU」へ
上述では、主として豆腐の成分の個々の効用を紹介しましたが、各成分が相互に関連補完して相乗的な効果を発揮するという面もあります。また豆腐製品は、食材として多くの料理に合いますから、他の食品と組み合わせることで同じような効果が期待できます。
いずれにしても豆腐は、栄養面でも、機能性食品としても優れ、健康の維持増進に効用のある健康食品といえます。また、健康であれば、みずみずしく若さを保てますので、美肌等に良い成分があることを除いても、なお美容に良い食品といえます。
なお、豆腐はカロリーが少なく、水分が多いため満腹感が得られ、かつ、栄養不足にならないという点で、すぐれたダイエット食品といえます。さらに、昔から豆腐などの精進料理を食べていた僧侶や、豆腐を多く食していた地域に長寿者が多いことを持ち出すまでもなく、健康を増進し老化を遅らせる成分・物質をいろいろ備えている豆腐は長寿食ともいえます。肉食の多い欧米等でも豆腐に関心が高まり、今や「TOFU」の名は、世界で通用する言葉となっています。